TONY MACALPINE -maximum security- | Rockbox

TONY MACALPINE -maximum security-

Tony Macalpine
Maximum Security


最近全然rockと関係ない内容だったので、久しぶりに・・・。


トニー・マカパインという人はハードロック/ヘヴィメタル界には

珍しい黒人のギタリストで、小さい頃から、クラシック音楽の教育を

受けて育ったとの事。

彼のプレイはクラシカルに彩られたメロディックな楽曲を、

正確無比なテクニックで弾きまくるというスタイルです。


ということで、このアルバムは約20年前の1987年に発表された、

全曲インストゥルメンタルのセカンドアルバムです。

もちろん、凡百の早弾きギタリストの運指練習のごとき作品とは

一線も二線も画すアルバムに仕上がっています。


なんといってもその特徴はメロディの質の高さ。

丁寧に構築されたメロディアスなフレーズを高速で紡いでいきます。

全11曲中メロディに乏しい曲は一曲も無いと言っても過言ではないでしょう。

(⑧は彼のピアノによるショパンの演奏曲)

もちろん技術的にも最高峰。

ギターどころか、ベースもキーボードもピアノも弾きまくっています。

流麗で滑らかなプレイには文句の付けようがありません。

全編を通して聞かれる、ソロに入った瞬間の切れ込むような

フレーズは秀逸です。


アルバムの導入曲の役割を果たす①、

疾走感溢れるバックの演奏に乗って縦横無尽に弾きまくる②、⑤、⑨

後半にゲスト参加のジョージ・リンチとソロを分け合う、バラード曲の③

ミドルテンポでより明快なメロディが豊富な④、⑦、⑩

これまたゲスト参加のジェフ・ワトソンとソロの応酬になる⑥

「はいはいあなたの凄さは認めますよ」のピアノ曲⑧

最後の締めくくりにふさわしい⑪


全編インストですが、一曲一曲に印象的なソロが用意してあり、

聞き手にメロディが迫ってくるように感じさせる、展開力に優れているので

とても聞きやすい作品だと思います。


個人的にはジョージ・リンチ参加の⑨が一番好きです。

彼の野性的なソロは繊細で丁寧なトニーの作品に、最高の

スパイスになっているように感じます。


ここ数年は、CAB などでジャズ・フュージョンの渋くて上質なアルバムを

発表している彼ですが(こちらもとてもgood)、

若かりし頃の煌く様なプレイもやっぱり最高です。